9. BH3-onlyタンパク質のBidは,核内においても機能していた
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大木理恵子, 田矢洋一
キーワード
Bid, BH3-onlyタンパク質, ATM
Bid
Bcl-2ファミリーのBH3-onlyタンパク質の一つであり、p53の標的遺伝子産物でもある
DNA損傷応答において中心的役割を果たすキナーゼであるATMの基質であることが示された
定常状態において、Bidは主として細胞質に存在している
しかしながら、デスレセプターからのアポトーシス誘導シグナルを受けると、Bidはcaspase-8による切断を受け、truncated BIDとなり、ミトコンドリアに局在しアポトーシスを誘導する
2005年に、このデスレセプターからの経路とは別に、DNA損傷時の応答にBidがかかわっていることが示された
DNA損傷を受けた細胞において、Bidはカスパーゼによる切断を受けない状態で核に蓄積するようになる
核においてBidは、ATMによるリン酸化を受け、S期のチェックポイントにおいて機能することが明らかになった
このチェックポイント機能にはATMによるBidのセリン61とセリン78のリン酸化が必要であり、ミトコンドリアにおけるアポトーシス誘導時に必須なBH3ドメインは必要とされない
これまでミトコンドリアにおける機能のみに焦点が当てられて研究されていたBidが、核において、いかにして細胞周期チェックポイント機能を果たしているのか、今後の研究結果が待たれる